高級養老院物語

2020年12月18日

これも恩返し!?

日々幼子に戻っていく母は、私が留守の間に思いもよらぬことをする。

先日も出勤日で1日留守にし、夕方帰宅すると「テレビが映らない」と訴えてきた。
調べると、テレビの後ろに隠していたテレビとレコーダーの電源が切られているではないか!

テレビの後ろに電源類を隠していたのは、電源を見つけては切りたがる母の行動を警戒していたからだ。
目に付かないところに置いていたにもかかわらず、目ざとくそれを見付けて、スイッチをオフにしたのだ。

「これは切らないで!って言ったでしょ!」と、思わず怒りがこみ上げる私。
たかだがテレビの電源を切ったくらいで、と思われるかもしれないが、問題はレコーダーだ。
録画予約していたものがパーになっているのだから、そりゃあ怒るよね。

とはいえ、これも短期決戦で端的に叱ることにしている。
とまあ、このやりとりも数度に亘ったため、これは私の隠し方が甘かったのだと反省し、今度こそ見付けられないところに安全を考慮して隠した。

その時、子供の頃、親の気を引きたくて、親がいない間に悪さをしていたことを思い出した。

幼子に戻っていく母は、無意識に子供がするようなことをしているのかもしれない。
そして、私は自分が幼子だった頃に母に叱られたように母を叱る。

受けた教えはお返しする、これもある種の恩返しなのかもしれない。


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2020年12月14日

日々修行

日に日に幼子に戻っていく超高齢の母の体力も忍耐力も衰える一方だ。

最近では筋力が落ちたせいで、自力で着替えるには時間がかかり過ぎるようになったので、手伝うのだが、寒さゆえ着る枚数も増え、その着脱にもフラフラする有様だ。

自身の肉体が思い通りにならないジレンマからか?キレ易くもなった。
その度に「あんたの助けは借りない!」「自分のことは自分でする!!」と豪語するのだが、現実問題無理だ。

以前から来ていただいている訪問マッサージの時間になったので、うたた寝する母を起こすとキレられた。何とも理不尽な怒りを向けられるのだが、マッサージの先生の姿を目にすると、コロッと態度が軟化する。

とまあ、1日のうちに猫の目以上にコロコロ感情が変化する母だが、救われる?のは、1日のほとんどをウトウトしているせいか、起きるとその前にあったことはほぼ忘れており、沸騰したかと思ったのもつかの間、数分も経てばケロッとして、人に助けを求めてくるのだ。

当初は私も戸惑うばかりだったが、最近では「はいはい!」とスルーする術を覚えた。というか、いちいち気にしていては一緒には暮らせない。

たまに深刻な状況になることもあるが、母の言い分ばかりを聞いていると調子に乗るので、私もガツン!と雷を落とすことにしている。すると、怒られた子供のように、シュルシュルシュル~~~と、意気消沈だ。

とはいえ、私も感情的にグチグチとは言わないようにしている。なぜなら、自分がキレたことも、私に叱られたことも、数分もすれば忘れてしまうからだ。
まさに短期決戦!だ。

高齢者があの世に還るには、子供→幼児→赤ん坊に戻っていくのが道筋かもしれないが、当人も家族もなかなかにヘビーな修行の毎日だ。


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2020年09月18日

自分にとっての課題

「毒親というより依存症の人」おおたわ史絵が捨てた母親とはを読んで共感。

どこの家族にも一人や二人の問題児はいるものだ。
家族みんながまともでハッピーなんて家はないだろう。

我が家も母親はどちらかといえば毒親に近いものがあり、父親は自己中の塊だった。
そんな親でも親は親。父親は6年前に看取り(介護は結構大変だった)、母親はかわいいおばあちゃんになるべく、日々修行中だ。

親には親の人生があり、好きで毒親や依存症になったわけではないだろうことは、自分が大人になって客観的に親のことを見られるようになって分かったが、子供の頃に受けた仕打ち(傷)は、そう簡単に消えるものではない。

とはいえ、それをネタにグチグチ言ったところで過去は変えられないし、自分が親を越えた存在になるしか道はないのだと悟った時、親を責める気持ちは無くなった。

今は、母親が大笑いして、何の心残りもなく、あの世へ逝ってくれることを目標に介護に励んでいる。

親から受けた仕打ちは、倍返ししたいところだが、同じ倍返しなら「恩返し」のほうが、誰にとっても幸せな結末となるだろう。


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2020年03月28日

生きるということ

昨年の10月から放送されたNHKの朝ドラ「スカーレット」が本日最終回を迎えた。

朝ドラ101作目で、100作目の「なつぞら」に比べると話も出演者も地味な印象だったが、主演の戸田恵梨香の演技に惹かれ、回を追うごとに物語の深さに触れ、気付けばがっつりハマっていた。

日本初の女性陶芸家が幼い頃は父の教育に翻弄され、結婚してからは夫に尽くしつつ、自分も陶芸の道に目覚め、気付けば夫を凌駕するほどの実力を持ったがために離婚することになり、陶芸家として名を成してからは、一人息子に先立たれるという、一見苦労続きだけのようにも感じるが、その中で主人公が自分の生きる意味を見出し、その道を貫く、自分の足で立ち、生きていくことの大切さを現わしているように感じた。

これまでの朝ドラとは一線を画した作品だとも思うし、人間としての生きる基本、何が大切なのかを、日常の生活を通して主人公が学んでいく姿にも共感を覚えた。

と、感慨に浸っていたところで…何げなくテレビを入れると競馬番組が放送されていた。
チャンネルを変えると母が「私、競馬好きなんだけど」と言った。

「は??」とその言葉の真意を測れない私は「競馬、好きなの?」と聞いてみた。
「うん、好きだよ!」と母。

えーーーーー!!!!!
これぞまさに青天の霹靂。
これまで酒もタバコもギャンブルにも程遠い生活を送ってきた母から出た言葉とは、俄かには信じられない!!!

よくよく聞いてみると、どうやら昔から好きだったそうだ。
そんなこと、一度も聞いたことなかったし、競馬番組を母が見ているのを目撃したこともなかった。

御歳89歳の母の言葉から「生きるということ」の奥義がまだまだ分かっていない自分だと、改めて思わされた出来事だった。

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2019年10月29日

エピソード7:新たな世界へ21

エピソード7:新たな世界へ20のつづき。

ショートステイ2日目の午前中は軽い運動療法があり、若いスタッフの方に手取り足取り指導いただいたそうだ。
そんなこんなでお昼ごはんとなり、午後3時には退所の時を迎えた。

ありがたいことに、往復送迎が付いているので、安心してお願い出来る。
部屋も個室だし、正直我が家の狭い寝室より圧倒的に広い。トイレを完備している部屋もあるので、事前にお願いしておくと、極力希望を叶えてもくれる。

食事も三度三度栄養バランスを考え出してくれるし、献立ごとにお皿も違う。
食べ終わると薬の準備までしてくれ、飲ませてくれる。

本人が嫌がることは無理強いなどせず、意思を尊重してくれる。
中には認知症の方もいるから、意思疎通が難しいこともあるだろうと推察する。

スタッフの方々は若い方が多いが、言葉遣いも丁寧だし、家族にもきちんと説明や対応をしてくれる。
何とも行き届いている施設だな、と感心しきりだ。

それだけ充実した施設であっても、家に帰ってきた第一声が「あ~~、やっぱり家が一番!」という母。そんなこと、スタッフの人には言えないな…とも思う。

だが、後日ケアマネさんから「どうでしたか?」と聞かれたので、正直に答えたところ「皆さんそう仰います」と返ってきた。

高齢者のために日々奮闘してくださるスタッフの方々のことを思うと、何とも申し訳ない気持ちになる。
私達家族に出来ることは、スタッフの方々の働きに感謝し、労うことしかないが、少しでもスタッフの方が笑顔で勤められるよう願っている。

enji_152 at 20:08|PermalinkComments(0)

2019年10月28日

エピソード7:新たな世界へ20

エピソード7:新たな世界へ19のつづき。

ショートステイ初日はご飯を食べに行っただけの形となった。
私が帰った後は、部屋でテレビを観て過ごしていたようだ。

後に母から聞いた話によると…。
「夜は良く眠れた?初めての場所だったからなかなか寝付けなかったでしょ」と私。
「眠れなかったね~、やっぱり家が一番よ」と母。
「夜中に誰か入って来なかった?」と私。

母と私は少しばかり霊感があるので、見えない世界の人が見えたり感じたりすることがある。

「それがさ~、出たわよ、夜中に。私の部屋に入ってきた!」と母。
「何時頃?」と私。
「時間は憶えてないけど、何回か来たよ」と母。

「ああ、それね、夜中に巡回しているスタッフだよ。数時間おきに部屋の見回りしてるらしいから」と私。
「そうなの?どうりでおかしいと思った!」と母。

母が滞在中、1時間毎にどう過ごしたかを記録した用紙が、帰宅時に渡されていた。それによると、2時間おきに巡視をしてくださっており、母がトイレに起きた時には都度それを手伝ってくれていた。
本当にスタッフの方の働きには頭が下がる。

それを見えない世界の人と勘違いするなんて、まったくとんでもない母娘である。

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2019年10月27日

エピソード7:新たな世界へ19

エピソード7:新たな世界へ18のつづき。

たった2か間のお試しショートステイだが、母の不安はMAXだった。
初日は姉に付き添ってもらい、午前中にお迎えが来た。

施設に行ったものの、前の人がまだ帰らないため部屋が空かず、母はリビングで待たされることになった。
ランチもそこで食べることが出来たものの、付き添いの姉は空腹のまま部屋が空くのを待つハメに。

逐一その状況が姉からLINEで送られてくる。
ようやく部屋が空いたのは午後3時を回っていた。部屋の様子を写真で送ってくれ、母が落ち着いた頃を見計らって姉は帰宅した。

生まれて初めてのショートステイ体験につき、私も少し心配していた。
基本的に他人に合わせることが苦手な母なので、周囲の人とうまくやっているだろうか?と。

終業後に寄るとちょうど夕飯の後で、他の方々と一緒にリビングでまったりしていた。
お腹が満たされ、既にお眠モードのお友達が数人いる中、一人かくしゃくとしているお姉様がいた。

皆に挨拶すると、そのお姉様が「お母さま初めてなんですって?大丈夫よ。私が付いてるからね」と仰る。私が礼を述べると「お母さま、まだお若いでしょ」と聞いてくるので「そこそこいってますよ」と話すと「私は95よ!」と、誇らしげに語るお姉様。

はは~~!!おみそれいたしました!!と、ひれ伏すばかりの私。
お姉様曰く「娘のために私はここにいるの。そのほうが娘も安心するでしょ。だから、お母さまも娘さんのために、ここにいてね!」と、私が言いたいことを代弁してくれる95歳のお姉様。

だが、初日で何が何だか分からなくなっている母の耳は全ての会話をスルーしていた模様。
リビングから母の泊まる部屋に移動し、少し話をしてから私は帰宅した。

母は部屋から私を見送ってくれたが、その顔は悲し気だった。
いやいや、そこで仏心を出してはいけないのだ。母のためにも、ここは心を鬼にせねば!

母も私も共に修行だ。

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2019年10月09日

エピソード7:新たな世界へ18

エピソード7:新たな世界へ17のつづき。

ショートステイお泊り前日にもう一ついつもと違うことがあった。
前日というより数日前から、というほうが正解だ。

母は先の予定を早くから伝えても忘れるのと、勘違いをするので、大筋は早めに伝えつつ、数日前に詳細を伝えるようにしている。

詳細を伝えた直後から「いつから行くんだっけ?明日?」と言い始めた。
「今度の月曜日だよ」と話すと、その時は「ああ、そう…」と言いながらも、少し時間が経つと同じことを聞いてくる。その度に私も同じ答えを繰り返す。

ショートステイ2日前からお泊りセットを準備し始めた。
すると「明日行くの?」と聞いてくる。「明後日だよ」と私。

つまり、数日前から母の日常ではない出来事への不安はMAXになっており、その思いが何度も同じことを聞いてくる、という形で現れた。

それは、同じことを何度も聞くことで、私が「それなら行かなくても良いよ」と言ってくれるのを待っているのか、何度も聞くことで、それが現実であることを自らに言い聞かせているのか…。真相は謎だが、母の心理に大きな影響を与えていることだけは確かだ。

そういえば、私が遠出する時は必ずと言っていいほど、同じことを聞いてくる。
それは、私が傍にいないことへの不安の現れだ。つまり、今回の現象もこれと同じなのだ。

とは言いつつ、母の精神的な自立のためにも、私は心を鬼にして?ショートステイへと送り出したのだった。

つづく。

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2019年10月08日

エピソード7:新たな世界へ17

エピソード7:新たな世界へ16のつづき。

1泊2日のお試しショートステイをするにあたり、お泊りセットの準備が始まった。
1泊だからそんなに荷物もないようだが、揃えてみればそれなりの量になった。

着替えの下着と服、洗面セット、部屋で使うための水筒、スリッパ、処方箋等々…。
たった1泊なのに、次から次へと要るものがあった。

また、それらに名前を書き、持ち物リストへの記入も必要だ。
まさに、子供のお泊り会と同じだ。母自身で準備が出来ないので、私がやることになるわけで…。

1泊だから要らないと思ったが、小銭を持っていきたいと言うので、小銭入れに数百円を入れて渡した。バックのポケットに入れといてね、と母に渡し目を離した隙に、それが行方不明になった。

とは言え狭い家のなか、棚の上とか、その辺に置いてあるだろうと思い探してみるものの見つからない。
すでにカバンには荷物がパッケージされていたが、それらを全部取り出して中身をチェックするが、やはりない。

さんざんっぱら探したが、結局見つからなかったから、小銭入れを持参することは断念した。
それにしても、どこに行ったのやら…未だにそれは見つからない。

手にして、どこぞに置いたか仕舞ったかした当の本人が憶えてないのだから、どうしようもない。
まあ、これも忘れた頃に出てくるだろう…と、ひきつる笑顔で対応。

こんな調子でショートステイはどうなるやら…。
一抹の不安を感じたお泊り会前日だった。

つづきは、また明日。

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2019年10月07日

エピソード7:新たな世界へ16

エピソード7:新たな世界へ15のつづき。

母が自分の母親を介護した時代は、それこそもう半世紀以上も前の話になるが、まだ介護という制度もなく、年老いたら不衛生な場所に追いやられる…といった悪いイメージしかなかった。

母の中では、そんな暗くて汚いイメージが頭にあったからか?施設に、という話になった途端、拒絶反応を示した。ある意味、それは当然の反応だろう。

ケアマネさんと相談し、まずは施設を見学に行くことにした。
建物に入ると、スタッフの方の対応が明るく元気だ。ショートステイの見学をということで、忙しい最中嫌な顔もせず、部屋や食事の場所、お風呂などを説明し、見学させてくれた。

施設は掃除が行き届いていて、清潔だし臭いもない。
母とほぼ同年代と思しき方々がいたが、暴れたり騒いだりすることなく、スタッフの方々と談笑したり、レクレーションをしたり、傍目にもその穏やかさが伝わってきた。

20分ほどの見学だったが、母のイメージは良い意味で打ち砕かれ、施設を後にする時には「良い所ね~」と言うほどだった。

好感触のうちにケアマネさんと相談し、まずはお試し1泊2日コースを予約することにした。

つづきは、また明日。




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2019年10月06日

エピソード7:新たな世界へ15

エピソード7:新たな世界へ14のつづき。

最近、改めて介護申請をした母に下りたのは、要支援2だった。
担当医曰く「お母さんは認知症じゃないから、要介護にはならないよ」とのこと。
要支援と要介護の境目は、認知症じゃないか、病気などで寝たきりではないか、ということだそうだ。

歳相応に物忘れもあるし、思い違いや聞き違いもしょっちゅうだが、脳スキャンしたところによると、脳みそはしっかりしてる!とお墨付きをいただいたので、認知症ではないそうだ。
足腰は弱り、一人では外出もままならず、新しい家電製品はこれまでと勝手が違うので触らないので、家事もほとんどすることがなくなり、一人では生活出来ないと判断され、要支援2の沙汰が下りたわけだ。

これまでは歩行訓練に特化したサービスだけを受けていたが、これからはデイサービスも利用出来るようになった。

母の世話をすることは私も厭わないが、たまには旅行もしたいので、その間母を預かってくれると安心だな、というのもあり申請をした次第だ。

で、今月からお試しデイサービスのお泊り会に参加することになった。
最初にこの話をした時、母は「子供がいるのに、そんな所に預けるなんて!!」と激怒した。

やっぱりそうだよな~と、予想通りの展開に、次の一手を講じることにした。
明日へつづく。



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2019年10月04日

エピソード7:新たな世界へ14

エピソード7:新たな世界へ13のつづき。

仕事を終え帰宅すると、母が顔面汗だらけで迎えてくれた。
「どうしたの?」と聞くと、「掃除機かけてたら、暑くて暑くて~」と言う。

10月なのに未だ30℃近い日が続いているので、1日中クーラーも入れていたが、少し身体を動かすと汗をかくようだ。

と、母の着ているものを見て思った。
「暑いなら上着脱げば~」と言うと「だって寒いんだもん!」と母。

動いていれば暑くなるが、じっとしていると寒くなるから、薄いカーデガンを羽織っており、そのままの恰好で掃除をしたら暑くなった、というわけだ。

「掃除する時は脱いだほうが良いよ」と言うと「あら、そうなの?脱いでいいの?」と母。
毎度のことながら脱力する回答が返ってくる。

「いいのよ~、ほら、汗だくでしょ~」と、母の汗をぬぐってあげると、嬉しそうに母はニコニコしている。

そうそう、母は既に母ではない。子供と同じなのだ。
かわいい子が同じことしたら、しょうがないわね~とか言いながら、子供の汗をぬぐってあげるだろう。そういうことだ。

とか言いながら、また母は同じことを繰り返すのだろう。

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2019年10月01日

エピソード7:新たな世界へ13

エピソード7:新たな世界へ12のつづき。

週に2回、運動療法のデイサービスを利用している母だが、痛いところや、弱い箇所があるため、痛みを伴う運動は控えるようにしている。

それを見たお仲間の老婆が「あんた、どこも悪そうにないのに、何でやらないの?」と聞いてくるそうだ。母は言っても分からないだろうから、やんわりとやり過ごしていたそうだが、毎回同じことを聞いてくるようになったそうで、ゲンナリしている。

夕飯時に「明日行ったら、私言ってやるわ!」と母。
「そうそう、言ったほうが良いよ。そういう人はガツン!と言わないと、ずっと同じこと言い続けてくるから」と私。
「あの人は、ボスなんだよ。だからあれこれ口を出してくるの、本当にキライだわ!」と母。
「そういう人って、誰も何も言わないから、一発かまして来い!ケンカしても良いよ~!」と私。

私が子供の頃、同級生にいじめられたことがあった時、母は「やられたらやり返せ!」と言って励ましてくれた。
私もその教えに従い、母に同じことを伝えた。

子供でも大人でも、いや死ぬ間際になっても、いじめっ子はいるものだ。
そういう奴には、ガツン!と一発お見舞いしてやらなければ、進展はない。

老齢となり、日々穏やかに暮らしたくても、そうはいかない現実!
人間、生きている間はずっと修行の日々だ。

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2019年09月24日

エピソード7:新たな世界へ12

エピソード7:新たな世界へ11のつづき。

「私のチーズどこ行った?」
チーズの外包みが食卓テーブルの上に放置され、その中身がないと、片手に食べかけのパンを握ったままの母が言った。

「食べたんじゃないの?」とまずは第1回答。

「食べてないよ、今パン食べてたんだから」と言いながら、下に落としたのかと、キョロキョロ探している。

チーズってそれなりに大きさのある固形物だから、そんなものが落ちれば一目だし、食べた記憶がないこと自体が面白すぎる!と私は一人ニヤニヤしていた。

「イキの良いチーズだから、どっかに飛んでいったんじゃないの?」と第2回答を発言してみた。

すると、「あ、そうかもね!」と、真顔で答える母。

「イキが良いから、気付かないうちに、お腹の中に飛び込んでいったんだよ」と第3回答で留めを刺す。

「ああ、そうか…」と、自分のお腹を見ながら納得する母。

歳相応に物忘れがあるとはいえ、今食べたものを探すのって…見ていると、結構面白いのだ。
そういう時は、それ自体を面白がることにしている。
すると、母もそれに乗ってくる。

何事も直球で受け止めたら、疲れるだけだ。
疲れない秘訣は「何事も笑いに変える!」ことだ。



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2019年09月23日

エピソード7:新たな世界へ11

エピソード7:新たな世界へ10のつづき。

今年米寿になった母は、4月から歩行訓練に特化したデイサービスに通い出したが、行けば行ったで、女子トークの洗礼を受け「人の悪口ばかり言う人がいてイヤだ~~」と駄々をこねる時がある。

だが、スタッフの方々の対応は抜群で、その姿勢が変わることはない。いつも細かいところまでケアしてくださり、感謝しかない。

歩行訓練、体力強化訓練のおかげで、以前より食欲も出てきたし、体重も増えた。一時は40キロを切るところまで行っていただけに、体力増強したことはありがたい限りだ。

それまでは体力低下のため、周囲のことを気にかける余裕もなかったが、徐々に周囲の雑音が気になりだしたようだ。
「イヤだと思う感情も、脳には良い刺激なんだから行ってきなさい!」と、叱咤激励する私。

親といえども子供と同じだ。どんなに駄々をこねようが、本人のためになると分かっていることは、こちらがブレない姿勢で貫くことも大切だ。

新たな世界で進化し続ける母との闘い?は、まだまだ続く。

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